米Intelは2008年8月4日(米国時間),複数の演算コアとグラフィックス処理機能を組み合わせる,次世代マイクロプロセッサ・アーキテクチャ「Larrabee」(開発コード名)の詳細情報を初めて公表した。Larrabeeプロセッサの第一陣は,2009年終わりから2010年初めにかけて登場するという(関連記事:Intel,多コア化可能な新アーキテクチャ「Larrabee」を来週発表)。

 Intelはプレスリリースに「Larrabeeは,未来のコンピュータの頭脳となる数十個,数百個,数千個の演算コアを動かすソフトウエアの開発と最適化へ,業界全体を一気に向かわせるだろう」と記した。「当社の技術研究リソースと,400校以上の大学,米国防総省高等研究計画局(DARPA),米Microsoftや米Hewlett-Packard(HP)といった企業から借りた力によって,IT業界をこの方向へ動かす」(同社のプレスリリース)

 Intelは,Larrabee系プロセッサを「多コア」プロセッサと説明しており,まず1個のプロセッサで16~48個の演算コアを連携させる計画だ(現在のパソコンは,デュアル(2)コアまたはクアッド(4)コアのプロセッサが一般的)。コア数は大幅に増えるが,Larrabee系プロセッサは現行パソコン/サーバーで利用されているx86命令セットに対応しているため,既存ソフトウエアに対する後方互換性を備える。

 Intelによると,当初Larrabeeベースのプロセッサはゲームや3次元アニメーションといったハイエンド市場向けに販売し,「DirectX」「OpenGL」などの主要マルチメディア処理ライブラリに対応させるという。同社のライバルである米AMD傘下のカナダATI Technologiesや,米NVIDIAが手がけているグラフィックス専用プロセッサ(GPU)製品と競合する位置付けのプロセッサとなる。

 ただし,Intelは「Larrabee系プロセッサは高度なグラフィックス機能を組み込んでおり,競合GPUより多くの強みがある。例えば,キャッシュ・メモリーを中心に配置することで,複数LSI構成のシステムで起きてしまう遅延を最小限に抑えられる」と説明している。さらに,独特なリング構造のデータ・パスがパフォーマンス向上に貢献するという。

 Intelは8月12日,カリフォルニア州ロサンゼルスにて開催されるコンピュータ・グラフィックス関連の展示会SIGGRAPH 2008(8月11~15日)で,Larrabeeの仕様書を公開する。同社はLarrabeeを,「一般的なマイクロプロセッサ分野における今後10年間で最大の変化」と称している。